抗生物質は飲みきるのが大事!聞き慣れない「薬剤耐性菌」の脅威と対策

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今冬は、風邪やインフルエンザ、感染性胃腸炎などで、ご自身やお子さんが体調を崩して、医療機関を受診した方もいたのではないでしょうか。

そんなとき、“抗菌薬”や“抗生物質”などと呼ばれる薬を処方されることがあると思います。皆さん耳にしたことはあると思いますが、こうした薬がどんな薬か、ご存知でしょうか?

実は最近、この抗菌薬などの不適切な使い方が問題になっています。そして、そのことから、薬が効かない菌“薬剤耐性菌”が増加していることが、世界的に危惧されているのです。

薬が効かない菌が増えてしまうと、今まで普通に薬で治せていたような病気が治せなくなってしまうことも。

今回は、政府広報オンライン等の内容を参考に、薬剤耐性菌の脅威と、この菌を増やさないために私たちが気をつけたほうがいいことについてお伝えします。

 

抗菌薬は、“菌”には効くけど“ウイルス”には全然効かない

まず、細菌とウイルス、そして薬との関係について、確認しておきましょう。

感染症、かぜのような病気などにかかったときに、抗菌薬を処方された経験のある方は多いと思います。

この抗菌薬ですが、感染症やかぜなどの病気を何でも治してくれるわけではありません。細菌性の病気に効果はある薬なのですが、ウイルス性の病気には効かないのです。

なので、ウイルス性の病気(たとえば、インフルエンザウイルスやノロウイルス)に感染した場合には、全く効きません。

また、一般的に“かぜ”とよばれる、のどが痛くなったり鼻水が出たりする疾患“かぜ症状群”について、一般社団法人日本呼吸器学会では以下のように記載があります。

<かぜ症状群の原因微生物は、 80~90%がウイルスといわれています。主な原因ウイルスとしては、ライノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなどがあげられます。ウイルス以外では、A群β溶血性連鎖状球菌(溶連菌)、百日咳菌などの細菌や肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラなどの非定型病原体があげられます。>

(引用元:一般社団法人日本呼吸器学会「呼吸器の病気」)

つまり、“かぜ”のうちの80~90%が“ウイルス性のかぜ”にあたるそうなのですが、こうしたウイルス性のかぜには、抗菌薬は全く効かないのです。

効くのは、あくまで細菌が原因の病気、たとえば、溶連菌感染症や結核、細菌性のかぜや肺炎などに限られます。ですので、抗菌薬は、基本的にこうした細菌性の感染症などのときに処方されるものなのです。

 

薬剤耐性のある菌は増加中

ということで、これまでは、細菌が原因の病気にかかっても、抗菌薬があるので、これで適切に治療すれば軽症のうちに回復することができていました。

ですが、1980年以降、いままでの抗菌薬が効かない“薬剤耐性”を持つ細菌が増加していることが確認され始めました。そして、この薬剤耐性菌が増えることで、治療が難しくなったり、死に至る可能性が高まったり、ということが心配されています。

薬剤耐性菌がどんどん出現してしまった背景には、これまで、必要のない病気にも抗菌薬が処方されてきたことや、処方された抗菌薬を患者が飲み切らなかったために体内に残った細菌が耐性を獲得してしまったことなどが指摘されています。

これからも同じような抗菌薬の使い方をしていれば、ますます薬剤耐性菌は増加し、また広がってしまうことが考えられます。

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